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~佐藤あずささん(八王子市議会議員)インタビュー~ 若い世代が政治を身近に感じるために、すべきこと

2017/05/08 | Domestic, Interview

“マンスプレイニング”という言葉をご存知だろうか?

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Wikipedia で調べてみると、「男性が、女性を見下ろすあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」となっている。

私がこの言葉をはじめて知ったのは、とある市議会議員のブログの中の一記事から。

 

それは、今回インタビュー取材を敢行した、佐藤あずさ八王子市議会議員のブログ。

彼女が書いたマンスプレイニングに関する記事は瞬く間にSNS上で拡散したので、目に留めた人も多いことだと思う。まさにセンセーショナルな記事であった。まだ読んだことがないという人は、是非ともお目通ししてほしい。

2016年11月4日ブログ記事 マンスプレイニング
http://super-azusa.net/archives/3678

佐藤さんとお会いしたなら真っ先に、どうしても、まずはその記事のことから訊いてみたかった。

 

「あの記事のことですか、お恥ずかしい・・・ 若い女性である私が政治の世界に入ってみて感じたこと・・・ 実にたくさんの困難な事態が待ち受けていたんですよ。そこで私なりに政治家を志している女性たちへ、何かしらプラスになる情報を書き残しておこうと、あの記事を書いたのですが、思いのほか、かなり拡散される記事となってしまいましたね」

 

佐藤さん本人でも想定外なほどにこの記事が世間から注目されることで、彼女自身、公の存在としての政治家という立場を改めて認識することになったと話す。

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「かねてから、言葉の力で戦って人の心に訴えかけ、動かしていくのが政治家なんだと強く自覚していました。そのことがあの記事のおかげで、さらに言葉ひとつひとつを、より大切に丁寧に用いていく必要があるなと再認識させられましたね」

 

政治家とは、言葉を武器に仕事をしていく職業 ―― 内容を撤回したくても、一度外へ放ったものは絶対に回収できない。最近でも、失言が発端となり辞職へと追い込まれた議員がいた。

そうした事象を目の当たりにするたび、佐藤議員が話してくれたことを思い起こす。

 

「自分の言葉に対して、疑いをもたれてしまったら誰からも信頼は得られない。そんなシビアな職業が政治家というものだと考えています」

 

佐藤あずさ議員に関する基礎知識

佐藤あずさ議員について、改めてここで紹介したい。

上智大学卒業後、日本放送協会(NHK)を経て、2015年4月、八王子市議選にトップ当選。晴れて政治の世界に飛び込むことになる。政治家になるきっかけは、前都知事選において、宇都宮健児氏の選挙活動を手伝っていた際、福島みずほ参議院議員と出会ったことである。

「実はもともと、社民党を支持していたのです。宇都宮さんの選挙応援を通じて福島さんと知り合うことができたのですが、福島さんの熱い思いに惹かれ、活動を手伝いたいと思いました。そして“選挙に挑戦してみないか?”とお声がけいただいたんですね」

 

そんな経緯から八王子市議選に社民党の公認を得て、若い世代の就労支援、子育て支援や高齢者福祉の充実、平和教育の推進など、世代を超えたまちづくり政策を打ち出し立候補する。

そして見事当選を果たした。

しかし、八王子市の議会を構成している議員のうち、社民党は佐藤さんただひとり。なかなか、自分の考えを議会で通すことの難しさに直面している。

すぐには結果が出ないとしても、自分が質問することで行政側がなるほどと納得してくれることもあるだろうと思って職務に励む日々です。“議員にそこまで言われたら動かないわけにはいかない”と、行政を納得させられるよう、ひとつの事柄について理由を順に突き詰めていき、粘り強く追及しています。よりよい政策を捻出するために、議会には多様な意見が必要です。そういう視点から考えると、自民党や公明党所属の方々はたくさんいらっしゃいますが、社民党所属もひとりいるのといないのとでは大きく違います。たとえ1人であっても議会に寄与することはできると考えています

 

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もともと、佐藤さんは大学卒業後、NHKに入局し記者として働いていた。

その当時に磨いてきた記者としてのスキルやスタンスが、議員としても生かされているという。

「議会で質問をするために、内容に関して十分調査研究をする責任が議員にはあります。これをフル活用していくために、記者時代の経験が生きてくるんですね。根拠となる情報をベースにして、事実を詰めていくといった仕事の進め方が似ています。“あれ、おかしいな”と感じたことを自分で組み立てて、推測をして、色々な人に話を聞いてしっかりと裏を取るんです」

 

佐藤さんが話すとおり、事実関係をひとつひとつ丹念に調査し、裏づけを確認していくことで見えてくる事実もある。

たとえば現在、国会で大問題となっている森友問題の発端は、豊中市議会議員が学校の工事現場で児童募集のポスターを見かけたことが発端だったと聞く。そのポスターには教育勅語が載っており、「これは極右の学校じゃないか」と疑問に感じて土地の登記簿を調べたところからだという。

参考記事:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/201557
(日刊ゲンダイ 2017年3月16日)

田舎者アイデンティティが原動力

“政治”と聞くと、そこはシビアな男の世界を想像してしまう。議会では重鎮の政治家へ向けて発言しなければいけない機会も少なくはないだろう。

そんな中で可憐な若い女性が立ち向かっていくには、メンタルが相当強くないといけないと思う。

そんな話を向けてみると、佐藤さんは笑ってこんな話をしてくれた。

「正直に告白すると、私は結構生意気で、とても勝気な性格なんですよね・・・」

 

妥協を許せない、まっすぐな性格のようで、『絶対に譲れない』と思う時は、ものすごく怖い顔をして発言しているんだと、屈託のないあどけない笑顔で話してくれた。

「議会では、皆それぞれ、自分が支持する意見を忌憚なくぶつけ合いますからね。意見が異なるとヤジが飛ぶこともしばしばですが、私はヤジが飛ぶと嬉しくなっちゃいますね」

 

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―― ヤジられることが嬉しいのですか?? それは、一体どういう理由からなのでしょうか??

「キャリアがすごくある年上のベテラン議員たちがヤジを飛ばすということは、それだけ私の質問を聞いてくれていることだと思うんです。自分の話を聞いてもらった上で議論が出来るというのはむしろ有り難いことじゃないですか。

その末、ヤジがふっと止んだ時、相手が納得してくれているのなら良いし、違うんだとしても、色々と立ち止まって考えてくれているかもしれないということで、喜びもあります」

そんな彼女の強固なメンタリティのルーツを探ってみたいと思った。彼女は岐阜県出身で、大学入学を機に上京してきた。

「生まれ故郷で生活していた時は都会に行きたいという気持ちでいっぱいだったのですが、いざ都会に来てみたら田舎者アイデンティティが強くて、まるで異邦人のようでした」とはにかんだ。

 

ただ、そんな“田舎者のアイデンティティ”が、彼女の向上心や探究心の源泉となっていることは確かなようだ。田舎者ゆえの強さや馬力があるからこそ、都会において差異化された個性を形成していく。

「自分の欲しいものは何か?そして、自分が何をしたいのか?また、どういう人間になりたいか?を深く考えることになったきっかけは『田舎育ち』というバックボーンのおかげでしょう。田舎では情報が少ないからこそ、逆に情報への渇望や出会いたい人への好奇心が醸成されてくるんです」

 

そんな生い立ちや環境を含め、自分のすべてを投影させて、八王子市をよりよい街へ導いてくために奮闘している。

「田舎で生まれ育ったからこそ、郊外や、地方の良いところも難しいところも全部理解できているんだと自負しています。八王子で政治に携わっている立場として、田舎出身というバックボーンが絶対に役に立つと確信しています」

 

佐藤あずさ議員の政治ビジョン

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佐藤さんが議員をつとめる八王子市について、どのような街かを伺った。

新宿から電車で50分ほどの距離、山の中にある学生の街というのが定型イメージだが、実際のところどうなのだろう?

「まず都市と田舎について話すときの前提として、“田舎は魅力の宝庫である”ということを訴えておきたいです。それはたとえば、ゆったりとした時間の流れすら、私にとっては愛おしく感じます。八王子は東京23区外の魅力的な街の一つですが、様々な設備が整っている上に、都心へのアクセスが良くて便利。そんな都市的な機能がきちんと充実しているのに、畑のそばでイノシシが出るような地域もあって、都心と地方、その両方の側面を堪能できる豊かな街なんですよ。八王子市のキャッチコピーは『都会にないもの 田舎にないもの ここにある』なんです。」

 

 

その八王子市で、佐藤さんが思い描くビジョンの達成に向けて、取り組むべき課題は明確に見えている。

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「とりわけ、生活困窮者の支援をしていくことが非常に重要な政治課題だと思っています。同時に人口減少にともなう都市計画やまちづくりの見直しも非常に重要です。今回の予算審査では、生活困窮者の住まいと仕事の確保、そして市内企業の従業員確保の問題に、空き家の利活用という住宅政策の視点からアプローチしました。分野の異なる複数の問題を一体的に捉えて、課題の共有と同時的な解決をはかっていくことを提案しました」

 

そして八王子という街がより一層魅力的に発展していくために、常日頃から自己研鑽に励んでいる。政治家として、現状に満足することなどない、飽くなき日々だ。

「八王子の土地の利用方法について、景観を維持するための適切な建造物の立地基準の設定や都市農業の普及方法などを検討しています。特に都市計画については非常に関心が高くて、本を読み漁って勉強しているところなんです。八王子が都会でもなく田舎でもなく、【八王子】というユニークな街作りを他の自治体に先行して実施することで、後々他の自治体にも成功モデルとして影響を与えたいなと思っています」

 

政治を身近(= セミヂカ)にするために必要な考え方

若者の政治離れが叫ばれて久しい。政治に無関心な若者が多い。そんな若者に向けて、“そもそも政治とは?”・・・その核心を、佐藤さんにわかりやすく噛み砕いて、説明してもらうことにする。

「自分の幸せは、必ず自分が暮らしているコミュニティーの相互関係・相互作用の上に成り立っています。政治は社会や制度の中で構築されていくものなので、自分の幸福は政治と無関係には成り立ちません。自分自身を幸せにしたい、あるいは自分の大切な人をこの社会の中で幸せにしたいと思った時は、必ず政治が関係してきます」

 

一見、“政治”という言葉を目や耳にすると、難しそう・・・と抵抗感のあまり、思考停止に陥ってしまう人も多いだろう。しかし、そんな心理的なハードルの高さをあえてスルーして、いっそ身近に感じてみるべき。これが、若者の正しいスタンスである。

「社会にコミットしている人は皆、その制度やシステムの中で暮らしているのです。もちろん、政治について特に強く意識をしない人は少なからずいらっしゃると思いますが、政治に関心を持つことは、あなた自身の幸せを考えることと同義であることを理解すべきです」

 

なるほど、、、幸せを追い求めていくならば、政治から目を背けてばかりではいけないことがよくわかる。

どんな小さなことからでもいいから、少しずつ政治に関心をもって生きていきたいものだ。

「政治のことを常に考えていくことは、個人の幸せを存続させることでもあると思っています。また、今が幸せだと感じている人でも、ある日突然、その幸せが壊れてしまったり、壊れそうになる不安でいっぱいになったりするような出来事に遭遇するかもしれません。例えば会社が倒産して、職を失ってしまった時に、更に住まいまで失うことだってあります。そこで以前のように幸せになるためには、セーフティーネットが機能していることが必要です」

 

現状幸せな人はそれで十分なのだから、政治に無関心でもよいかというと、もちろんそういう訳ではない。

「逆に、今の幸せがずっと続くとしたら素晴らしいことなのですが、それなら続けていく努力をしなければいけない。自分を守る制度やシステムがどのような根拠で続いていくのか、あるいは知らない間に壊れてしまっていないか。自分の周りで起こっていることに敏感でいないと、システムの綻びには気が付きません。幸せを築いていくことって、すごく難しいことなのです」

 

これからの将来を担う、若い世代へ向けてのメッセージ

気がつけばここまで佐藤さんのお話に、グイグイと引き込まれていく自分がいた。イキイキとした表情から放たれるひとつひとつの言葉が、これまたキラキラしていて圧倒される。

あまりにステキすぎる。

昔っから、やっぱりとんでもなく凄いお方だったのだろうか??

「いやいや、先ほども話しましたが、私は田舎者なので。東京へ上京してきた時にまず感じたことと言えば・・・ 正直に言って、自分が随分と世の中から出遅れているなと衝撃を受けました。それは地方と東京のライフスタイルの幅の歴然たる差を目の当たりにして、強いカルチャーショックを受けたんです」

 

佐藤さんでも、そんなふうに感じる過去があったとは意外だ。

でも、そこからの起死回生っぷりが、やっぱり尊敬の一言。

「このままでは、周りから取り残されてしまうかもしれないと、焦ってお化粧をしてみたり、流行を追ってみたりしたこともありました。(笑) しかし、そんな風にもがいていると、皆が同じものを追いかけて均一なところに自分が溶け込むのは、なんか違うな、嫌だなと、感じるようになっていきました。無理やり誰かの真似をしてオシャレをしたって、どこか楽しくなかったり満足できたりしなかったんです。そこで初めて、自分が自分らしくあるのが一番大切なんだと、視野が開けたんですね」

 

佐藤さんと話していると、確固とした芯の強さや、真摯に事象と向き合っていくストイックさを物凄く感じる。彼女が信念を抱いていることは、どういったものだろう?

もっともっと、考えの核心に迫っていきたい。

_DSC7139「日々、あるいは瞬間瞬間、選択が迫られる場面で私達が本当に考えるべきは、“自分は何がやりたいのか”という心の底からの問いを、自分自身に素直に投げかけてみることです。

自分が思い描いている将来の理想像に対して、どうやって社会にコミットしてその問題にアプローチできるかという考え方をした方が、自分が下す選択に自信を持てるようになります」

 

 

もはや私だけが佐藤さんの素晴らしい言葉のシャワーを浴び続けるのはしのびない。最後に、この記事を読んでくださっている20代の若者読者に向けても、熱いメッセージを語ってくれた。

「私自身も、20代の頃は自分がどんな人間になりたいか、そして思い描いた像へ果たして自分がなれるのかという苦しみや悩みにもがく日々でした。しかし自分が追いかけたいテーマというのを諦めず追いかけ続けることで、納得のいく選択ができるようになると思うんです。だから苦しい時ほど自分に正直に、苦しいことから目を背けないで向き合っていって欲しいと思います」

 

そんな大志を抱く若者に対して、佐藤さんは強く決意していることがある。

「苦しい気持ちになった時は手を差し伸べてくれるのが“政治”であるように、私自身も頑張ります。とみなさんに強く伝えておきたいです!」

  

<profile>佐藤あずさ

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八王子市議会議員。社会民主党所属。
上智大学卒業後、2015年より現職。

保坂展人世田谷区長、三木由紀子さん、荻上チキさんとの講演録『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』(白順社)が5月12日発売予定。

 

<インタビュー後記>

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若くて可愛い女性議員として注目されて苦労された経験や、どんな環境で育って今に至るのか、じっくりと答えてくださいました。

政治の大切さと学生の皆さんへのメッセージが特に心に響きました。社会に出て働き、生きていくことについて、今一度考えるきっかけになるのではないでしょうか。

佐藤先生、いや、佐藤さん(社民党ではみなさん「さん」づけで呼び合うそうなので佐藤さんと文中では記載させていただきました!)にお会いしてみて、明るく優しい雰囲気で、キラキラ輝くオーラに包まれていて、とても素敵でした。写真撮影に快く応じてポーズも決めてくださったり、ニコニコと優しく話される姿からは、議会においては険しい表情でいらっしゃるという姿は想像できません(笑)。しかしそれは、より良い社会のために改革を進めるべく、にじみ出る強い想いからなのでしょう。

 

Interview by 松野有里子(セミヂカ編集部)

PHOTO by 尾内一希(Studio Cadre)

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セミヂカ編集部

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