2012年4月に自民党は「日本国憲法改正草案」というものを発表しました。
この憲法案を対して、「立憲主義に反している」という批判があります。
この「立憲主義」とはいったいどういうものなのでしょうか。
そして、自民党の憲法案はどういう考え方に基づいているのでしょうか。
立憲主義の考え方
➀国民の権利(生命、自由など)を守るために
➁憲法によって国家権力(政治家、官僚、公務員など)を縛る
例:
日本国憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、
立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
日本国憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」
日本国憲法第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ(負う)」
自民党憲法案の考え方
➀日本の伝統(だと自民党の人たちが考えるもの)を守るために
➁憲法によって国家権力と一般国民の両方を縛る
例:
自民党憲法草案第3条「2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」
自民党憲法草案第24条「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、
尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」
自民党憲法草案第102条「1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」
政治家にプライベートまで命令されるかも
このように日本国憲法を支える立憲主義の考え方と、
自民党の憲法案の考え方には大きな違いがあるといえます。
自民党の思い通りに憲法が変わってしまったら、
国家に(というか政治家に)
「国歌を歌え」
「家族を大切にしろ」など
プライベートのことまで命令されるように
なるかもしれないのです。(今野優之)
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今野優之
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