HOME >Book Review>どうして日本は戦争に?『昭和史 1926-1945』を読んでみた

どうして日本は戦争に?『昭和史 1926-1945』を読んでみた

2015/03/03 | Book Review

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

この本のまとめ

・日本が太平洋戦争に突入していった背景を説明
・軍部が日本社会全体を動かす存在になっていくプロセスとその原因が記されている
・一般の人や昭和天皇が戦争を嫌がったが、結局戦争を阻止できず

 

中学や高校の教科書を読んだだけではわからなかったことがわかるようになります。戦争を体験した著者ならではの、戦争中の世の中の空気についての話もあります。日本が戦争に突入して負けた原因をわかりやすく示したフレーズは「軍人は常に過去の戦争を戦う」です。つまり、時代の変化に対応できなかったのです。世間一般で戦争について言われていることが実は間違いであることも指摘されています。

国際社会の中で日本はいかにふるまうべきか、ということについて考えさせられる一冊です。今の日本とは政治体制も違う過去の日本の話ですが、今の日本に当てはまる部分もあると思います。外国がこれからどう行動するのかを的確に予測することの大切さを思い知らされます。

「天皇の思いの中には、いざとなった時には内乱が起こり、自分は押し込められ、代わりの者が天皇になって、それを操って軍部は思い通りの強硬政策にもっていく、という怖れがあった」とこの本の著者は言っています。当時神であるといわれていた天皇がそう考えていたのです。なんと恐ろしい時代でしょう。

主権者(国の方針を最終的に決定する人)を、天皇なら天皇、国民なら国民と、はっきり決めなかったことが日本を誰も責任を取らない国にしてしまったといえそうです。当時天皇が主権者ということになってはいたものの、内閣や軍が決めたことに天皇はあまり口出しすべきではないと考えられていました。

もちろん、天皇主権の独裁国家よりは、国民主権で天皇はあくまでシンボルという民主主義国家のほうがよいと思います。天皇が何でも決めてすべて責任を負うというのは国民にとっても天皇にとってもよくないといえるでしょう。

アメリカと戦争する前から「敵性言葉」は使うなといって、パーマを「電髪」、スキーを「雪艇」といったように言い換えていたというから驚きです。

いま中国が東アジア(日本とその周辺の地域のこと)で影響力を強めていますが、日本がアジアのリーダーを目指してアメリカと戦争し痛い目にあったことから中国も教訓を学んでほしいと思います。

一度「戦争やむなし」と考えてしまうと、どんどん泥沼にはまってしまい、戦争を避けようとするのがますます難しくなる、だから早い段階から戦争に反対しなければならない、それがこの本が伝えている教訓だと思いました。

私たちはその場の空気を読んだり、何となく気を遣って言いたいことを言わなかったりすることがありますが、多くの国民の生命を預かる立場の人間がそのような行動をとることによって、悲惨な結果を招いてしまうことがあるのです。そして、日本のような民主主義の国では、私たち一人一人が国の方針を最終的に決める主権者として、多くの国民の生命を預かる立場にいることを忘れてはなりません。

どこの国にも良心的な人はいます。しかし、彼らの声が多数派に押しつぶされてしまうと、悲劇を防ぐことはできないのです。都合の悪いことでも見て見ぬふりをしないことが大切です。学校の授業ではほとんどやらない昭和が始まってから戦争までの歴史を、この本を読んで知ってほしいと思います。長々と堅苦しい話をしましたが、面白くて読みやすい本です。戦争中の日本の空気がどのようなものだったかもっと知りたい人は『暗黒日記』も読んでみてください。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)
半藤 一利
平凡社
売り上げランキング: 1,020
暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)
清沢 洌
岩波書店
売り上げランキング: 156,216

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で