「新聞なんてとってないよ」という人でも、実は新聞の記事を読んでいます。なぜなら、YAHOOニュースなどの記事の多くは新聞社が提供したものだからです。ところであなたも読んでいるかもしれない新聞記事は新聞社ごとに主張に違いがあるのを知っていましたか?
今回は集団的自衛権と原発問題に置ける主張の違いを見てみましょう。
集団的自衛権、読売・産経・日経は賛成、朝日・毎日・東京とは反対
安倍政権が2014年7月1日、集団的自衛権が使えるように憲法解釈を変更する閣議決定をしたことを受けて、日本の新聞各社は翌日社説などで、一斉にこの問題を取り上げました。2日の新聞各社の主張は以下の通りです。
賛成
読売新聞…………「歴史的な意義があろう」
産経新聞…………「あるべき国家の姿に近づいた」
日本経済新聞…「集団的自衛権を使えるようにしておく必要がある」
反対
朝日新聞……「閣議決定は「暴挙」」
毎日新聞……「集団的自衛権 閣議決定に反対する」
東京新聞……「『戦地に国民』へ道」
その他大半の地方紙
ちなみに集団的自衛権のことがよくわからない、という人は、日本一わかりやすい “集団的自衛権” の話を読んでみてください。
原発再稼働も同様に賛否分かれる
続いて原発再可動の問題についても見てみましょう。
九州電力川内原発が原子力規制委員会による安全審査に事実上「合格」し、原発再稼働が現実味を帯びてくると、日本中の新聞が一斉にこの問題を取り上げました。新聞各社の主張は以下の通りです。
賛成
読売新聞……「原発の再稼働を軌道に乗せねばならない」
産経新聞……「自民党の国会議員の間でも規制委に対し、審査の迅速化を求める声が上がっている」
日経新聞……「原子力発電所の『稼働ゼロ』の解消へ前進といえる」
反対、慎重
朝日新聞……「このままで原発を再び動かそうというのは暴挙である」
毎日新聞……「このままでは、原発の安全神話の復活につながる」
東京新聞……「政府が繰り返し言う『世界一厳しい基準』に根拠ない」
読売・産経・日経は肯定的、朝日・毎日・東京と地方紙の大半は否定的という
集団的自衛権と同様の構図です。
どういうスタンスの新聞社の記事かチェックしよう
新聞記事は一見すると客観的、中立的なものかもしれません。しかし新聞社のカラーを反映していることが多々あります。なので、インターネットなどで新聞社の記事を読むときはどういうスタンスの新聞社が書いた記事かチェックしましょう。そうすることで、記事の内容に対する理解が深まります。(今野優之)
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今野優之
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