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あなたが誤解している“生活保護”の真実

2014/05/27 | A to Z, Domestic

お金

みなさんは、生活保護についてどんなイメージを持っていますか。「働いている人より多くのお金がもらえるのはおかしい」「不正受給をしている人がたくさんいる」などと思っていませんか?実は、そのようなイメージには誤解が多いのです。

年金や給料をもらっていても、生活保護は受けられる

「生活保護基準が最低賃金や年金より高いのはおかしい。基準を引き下げるべき」という意見があります。「生活保護をもらっている働いていない人が、最低賃金で働いている人の以上にお金をもらっているのはおかしい」というものです。

しかし、実はアルバイトや派遣社員として給与をもらっていても、あるいは年金を受け取っていても、それが基準額を下回っているのであれば、生活保護を受ける資格になり、差額が支給されます。

たとえば、しっかりと働いても1か月の収入が5万円にしかならず、その地域の最低生活費がその方のケースで9万円と定められていた場合には、差額の4万円を生活保護として受け取ることができます。

ただし、その場合でも、
① 援助してくれる身内、親類がいない
② まったく資産を持っていない
③ (病気、ケガなどでやむなく)働けない(例外もあります。)
という条件を満たしている必要があります。

したがって、年金や給料をもらっている人が、生活保護をもらっている人より少ない金額で生活しなければならないというのは、生活保護の仕組みを知らないことが原因で起こっている問題なのであって、生活保護基準が高いことが原因で起こっているわけではないのです。

日本の生活保護利用率は低く、数百万人が保護から漏れている

「生活保護の利用率は高いのでは?」という声もあります。しかし、日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。

しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち実際に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。ちなみに、ドイツの捕捉率は64.6% 、フランスの捕捉率はなんと91.6%です。

不正受給の割合は保護費全体の0.4%程度

不正受給の件数や金額が年々増え、不正受給が横行しているかのような報道がされています。しかし、不正受給の割合は件数ベースで2%程度、金額ベースで0.4%程度で推移しており、大きな変化はありません。

もちろん、悪質な不正受給に対しては厳しく対応すべきですが、そういうケースはごくわずかな例外です。数字を冷静にみれば、数百万人の人が生活保護受給から漏れていることの方が大きな問題なのです。

生活保護を否定することは自分自身の安心を奪うこと

生活保護は最後のセーフティーネットです。いざという時のセーフティーネットがしっかりしている社会は、誰もが安心して暮らせる社会であり、この記事を読んでいるあなたも安心して暮らせる社会なのです。自分自身の安心のためにも、生活保護の仕組みや必要性への理解を深めましょう。生活保護を否定することは、自分自身の安心感を奪うことにもなるのです。(今野優之)

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