身近でよく耳にする 『 EPA 』 や 『 TPP 』 ☆
皆さんはこの言葉の説明をすることができますか??
アメリカの大統領選挙でも『TPP』という言葉が出ていますが、
今からこれらの言葉について紹介していきますね♪
目次
EPAはさまざまな分野で経済的協力を強化する協定
EPAは、貿易自由化についての
ルールを定めた協定のことです。
貿易を行う際の障壁の一つが「関税」です。
関税は輸入品に課せられる税金のことです。
関税を課すことで、輸入品の価格が高くなって
国内製品を保護することができます。
しかし、それでは貿易は活性化しません。
そこで、関税やサービスに課せられた規制の撤廃や削減について、
特定の国や地域との間で定めた協定が、自由貿易協定(FTA)です。
これに加えて、特許をはじめとする知的財産制度や、
人的交流の拡大など、さまざまな分野での
経済的協力の強化を目的とした
包括的な協定が経済連携協定(EPA)です。
このEPAをアメリカ、オーストラリア、カナダ、シンガポールなどの
9か国と行うのが環太平洋経済連携協定(TPP)です。
農産物の関税撤廃にこだわるアメリカをけん制
日本とオーストラリアのEPAをめぐる交渉がまとまろうとしています。
最大の懸案だった日本の牛肉関税を
いまの38・5%から15年程度かけて20%台まで引き下げる方向で一致しました。
輸入が一定量を超えた場合は税率を38.5%に戻す
セーフガード(緊急輸入制限)が発動します。
TPP交渉が遅れるなか、日本政府としては、
「このままだとオーストラリアに
日本の農産物市場のシェアを奪われてしまう」と
農産物の関税撤廃にこだわるアメリカに思わせることで、
けん制する狙いがあります。
そもそも、どうして日本政府は農産物の関税を守ろうとしているのでしょうか。
農産物の関税がなくなってしまうとどういう影響があるのでしょうか。
農家の6割以上が離農する可能性
TPPで関税が撤廃されると、
例えば小麦は海外から製粉された「小麦粉」の形で輸入されます。
小麦を育てる農家だけでなく、
国内の製粉工場もすべて操業停止に追い込まれる可能性があります。
農業で約142万人、食料品製造業で
12万6000人が減少し、この2業種に限っても
失業に追い込まれる人数は150万人を超えます。
平成22年の「国勢調査」では
農業従事者が約214万人。
ということは、農業での減少142万人は
66%も減少するのです。
つまり、全国で6割以上の
農業従事者が農業を放棄する可能性があります。
都市部に住む私たちの仕事や就活に影響する可能性も
また、関連産業への影響額を都道府県ごとにみていくと、
驚くべき実態が浮き彫りになります。
生産減少額の第1位は北海道や沖縄ではなく東京都です(1兆7100億円)。
3位には愛知県、4位には大阪府などの
大都市圏が上位にランクされています。
一方、国内の就業者の減少数は合計で
227万人にのぼりますが、
都道府県別では、やはり東京都が第3位で
減少数が12万人を超えています。
つまり、この結果は、TPPによる関税撤廃は、大都市圏の問題でもあり、
「TPP=農業問題」「TPP=農村県の問題」というのは一面的なモノの見方です。
都市部に住む私たちの仕事がなくなったり、
就活が一層大変になる可能性もあります。
交渉の行方に目が離せない
農協が自民党の支持母体であることもあいまって、
今、日本政府は何とか農業を守ろうと懸命に交渉しています。
交渉の行方がどうなるのか、今後とも目が離せません。
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今野優之
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