この前の都知事選でも話題になった組織票。選挙戦のゆくえを大きく左右する存在です。組織票という言葉を聞いて頭に思い浮かぶのは国の政策によって大きな影響を受ける農業や建設業、医師会などの業界・団体です。“TPPへの加入”“公共事業費の増大”といった争点について、各業界の意向を代弁する候補者を当選させようとします。
農協の会員数は約1000万
組織票はどれほどの影響力を持っているのでしょうか。たとえば、農協の正組合員と準組合員を合わせた会員数はなんと約1000万にものぼるのです。同様に、全国の労働組合を取りまとめる「連合」は約680万人の会員数を誇り、建設業協会は、企業数だけで約2万社あります。日本医師会は約17万人、日本薬剤師会は約10万人の会員を擁しています。もちろん、団体の構成員すべてが組織の求めに応じて投票するとは限りませんが、当落に大きな影響を与えていることは間違いないでしょう。
「組織票=悪」とは言いきれない
組織票というと、利益誘導型の圧力団体のような印象を持つ人もいるかもしれませんが、彼らは何もズルをしているわけではありません。利害の一致する有権者同士が団結し、投票先を集約することは、国会に自分たちの主張を届けるための基本的な方法です。
また、中には本気で世のため人のためを思っている人たちがつくる組織もあるので、必ずしも「組織票=悪」とは言いきれません。
どんな組織票よりも大きい若者票
選挙結果に対する組織票の影響力が大きい理由は、全体の投票率、特に浮動票の多い若者の投票率が低さです。実際、30代以下の投票率は非常に低く、20代の投票率はわずか30%台(60代の半分以下)です。しかし20~30代の有権者は約3000万人にのぼり、どんな組織票よりも大きいのです。もちろん、若者といっても考え方などは様々ですが、政治に関心を持つ若者の輪が広がれば、選挙戦のゆくえを組織票が大きく左右する状況が多少なりとも変わるかもしれません。「組織票=悪」とは言いきれない、といわれても納得できない人は、自分の周りにいる人に政治への関心を持ってもらえるように働きかけてみましょう。(今野優之)
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